愚者の皮:第5回 顔という臓器 ネタバレ
《 過去よりも先へ5回 》
まだ、復讐が足りないと思うあよさん。
介護事務所から追い出してからも、
彼の行方を探していましたが、
なかなか見つけることができずにいました。
それもそのはず、英馬さんは「黒瀬」という偽名を使い、
化粧品販売会社で仕事をしていたのです。
何か満たされない日々を送る彼、
ふと見ると路上で自分の書いた詩を売る少女
「亜純」さんに目が留まります。
その姿に英馬さんは、
昔のあよさんを彷彿とさせるものを感じるのでした。
彼は、考えついてしまったのです。
「あよが醜く壊れてしまったのなら
新しいあよをこの手で創ればいい」と。
偽名を使うことで、あよさんの追求から、
逃れているからでしょうか。
現状を受け入れることが出来なかった英馬さんの心が、
少しずつ露わになっていきますね。
亜純さんと二人で出かける英馬さん。
彼女の磨けば、輝く原石のような姿に、
自分だけの花が創れることを改めて確信。
しかし、一つ気がかりだったのが、
彼女は、霧島ミュ子という自分が好まない、
けばけばしいような容姿のモデルに
憧れていることでした。
一方、あよさんは、勇気を出して、
もう一度美容外科の病院で検査を受けていました。
あよさんの心を理解して、
丁寧に話しをするお医者さん。
しかし、あよさんが望むように顔を治すということについては、
手はなくはないといいながらも、
その成果が現れるのは、30、40年かかるとのことです。
「時間はお金では買えない」
お医者さんのその言葉に、
残酷さを感じながら病院をあとにするあよさん。
彼女の後姿を見て、
誠実に話てくれたお医者さんの言葉は、
彼女にとって現状を心で納得するきっかけに
なったのではないかと思いました。
亜純さんと付き合って3か月、
英馬さんは彼女に渡そうと、
指輪を準備していたのです。
「自分はついにやったんだ、あよから自由になったんだ」
と心に思いながら、
待ち合わせをしていたベンチに行くと、
そこには整形して、霧島ミュ子の顔を手に入れ
興奮の真っただ中にいる、亜純さんがいました。
手術代を出してくれた人として、
そこに立っていたのは、あよさん。
あよさんは英馬さんが、
亜純さんに出会った翌日には、彼女に接触しており、
英馬さんの動向も把握していたのです。
自分が大切に育てていこうとした花、
亜純さんを奪われ、
自由だと思っていたのに、
実際はそうではなかったことに、ショックを受け、
まるで泥水の中をもがき、
叫びださずにはいられない気持ちになるのでした。
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