愚者の皮:第3回 憎悪

 

《 心から湧き上がってくるものの3回 》

 

ドンドンと大きな音を立てて、

あよさん家のドアをたたいたのは、螢神土子さん。

 

あよさんが、はじめて彼女に会ったのは、

英馬さんとこの街に来たばかりのころ行われた、

町会婦人部のバーベキューイベントででした。

 

 

螢神さんは、町会婦人部を仕切り、

自分より目立つ人に目を付けて虐めたり、

他人の不幸が大好きで、

その人が見られたくないものを他の人にさらすことで、

幸福感を感じる性格。

 

 

周りからも注意されている人物だったのです。

 

螢神さんのことを、

茶目っ気をまぜながら教えてくれた松山ユキエさんは、

あよさんと話もあい、すぐに友人になる二人。

 

 

そんなある日、ごみステーションに出したごみ袋のトラブルで、

松山さんが螢神さんに責められることになってしまいました。

 

 

もちろん、覚えのない松山さんは、

知らないといいますが、信じてくれる人はいません。

 

松山さんに対する嫌がらせは、

2か月続き、彼女は耐え切れず、引っ越してしまうことに。

 

 

その後、彼女が憔悴しきってストレスの皮膚炎で腫れた顔を、

螢神さんはメールで一斉送信したそうです。

 

 

螢神さん、どうして彼女がそうなってしまったのか

気になるところですが、何とも恐ろしい女性です。

 

 

そんな彼女が、今、あよさんの家のドア前で、

出て来いというのです。

もちろんで行けるはずはありません。

 

 

あよさんが離婚したことを聞きつけて、

ドアの前で言いたい放題。

 

挙句の果てに、あよさんの家の庭で、

バーベキューをはじめ、煙でいぶりだそうとしています。

 

 

これには耐えきれず、あよさんは、

心の底にあった言葉をドアの内側から螢神さんにぶつけます。

 

 

「醜い女が、自分をきれいだと言い張ると、

人は底知れぬ恐怖を感じる」のだと、

 

そして、

 

「みんな怖くてあなたのいいなりになっている」

 

のだと。

 

 

自分が、綺麗で美人だから、

みんなから言うこと聞いてもらえ、

ちやほやされているのだと思っていた、螢神さんは、

自分が醜いといわれたことにショックを受け、

その場を後にします。

 

 

あよさんは、あれだけ怖くて言えなかった思いを、

彼女へぶつけたのに、

何かやりきれなさが心に残るのを感じていたのでした。

 

 

夜になって、螢神さんは仕返しとばかりに、

あよさんの家にガソリンを撒き、火をつけます。

 

 

そんな螢神さんへ一言、彼女の口癖

 

「ねぇ あたしキレイでしょ」

 

とあよさんが声をかけると、

あよさんの今の顔に、螢神さんは、

叫び声をあげけて去っていきました。

 

 

あよさんは、燃えていく家を眺めているうちに、

醜くなった自分を見捨てた英馬さんへの憎しみが、沸き上がり、

彼への復讐を心に決めたのです。

 

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⇒愚者の皮:第4回・花はみていた

⇒愚者の皮:第2回・愛の砦


 

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