愚者の皮:最終話 言祝 ネタバレ
《 神話の二人の最終話 》
あよさんをかばって顔に塩酸をあびてしまった英馬さん。
螢神さんは、誤算ながらも、
夫の顔がただれて醜くなってしまい、
あよさんがどいう反応をするのか、
興奮し楽しくて仕方がない様子です。
イザナギとイザナミの神話の夫婦のように、
憎しみ合うことを期待していた螢神さん。
しかし、あよさんは、
英馬さんの塩酸でただれた傷を吸い出すように、
癒すようにキスをします。
その神々しいまでの姿に、
誰もが言葉を失うのでした。
その後、螢神さんが警察に捕まり、
蛭子川さん達の日常が戻ってきます。
英馬さんは、傷は治りましたが、
視力をなくし、あよさんは声を失ってしまいました。
二人は、失ったものよりも
一緒にいることを喜び、
その笑顔は、本当に幸せそうです。
残月さまからこのシェアハウスを
手伝うようにとやってきたウメさんは、
蛭子川さんの車いすを押し、
多くの人がこのシェアハウスで出会い、
そして旅立っていきました。
毎晩、語り合うシェアハウスのメンバーの中心には、
英馬さんとあよさんがいました。
そして、月日が流れるうちに蛭子川さんの病状は進行していき、
文字が書かれたボードを使って、
わずかな目の動きで、何とか会話をしている状況です。
このままウメさんへの自分の気持ちを伝えられないまま、
何もできなくなってしまうんだと思っていたところ、
あよさんが蛭子川さんの耳元で絞り出すように
「ことほぎ」
という言葉贈ります。
自分にもまだできることがあったことに
気付かされた蛭子川さんは、ウメさんに、
「感謝の言葉」と「愛している」
という気持ちを伝えたのでした。
時には、愛し時には憎しみ合いながらも、
ここまでたどりついた英馬さんとあよさん、
その二人の姿は、
まるで神話のイザナギとイザナミすらも越えた存在のよう。
二人が見つめあうラストは、
その存在がいつまでも永遠に続くと感じさせれるものでした。
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