愚者の皮:第8回 春の疼き

 

《 ホテルと夫婦の8回 》

 

あよさんと英馬さんは、

偶然にも同じ駅に降り立っていました。

 

「夫婦二人で困難に立ち向かいながら、

経営しているホテル」の記事をみて、

もし、交通事故がなければ、

自分もこんな夫婦になっていたかもと思うと、

興味がわいたあよさんは、

そのホテルに行ってみることにしたのでした。

 

 

そして、英馬さんは、

そのホテルで雑用をこなすスタッフとして

面接を受ける予定だったのです。

 

 

実は、英馬さんもあよさんと同じ記事を見て

興味がわいたとしたら、いいなと思うのですが、

実際のところはわかりません。

 

 

アットホームな雰囲気のホテル、

経営しているご夫婦も記事通り仲が良く、

顔つきまで似ているようで、

おもわず微笑んでしまうあよさん。

 

 

夜、部屋で休もうとするあよさんが、

ふと外を見ると、英馬さんが草むしりをしている姿が見えます。

 

 

心の中で「頑張って」と彼のことを励ましながら、

顔の不安定な症状からくる痛みに、床に就くのでした。

 

 

翌日、ホテルのロビーには英馬さんの姿。

彼の手にかかると、

まるで別のホテルに来たようにさえ感じるほどの

掃除の綺麗さと顧客対応、

彼の仕事に、オーナー夫婦もびっくりの様子。

 

 

完璧な仕事ぶりが彼らしいと感じてしまう、あよさんです。

 

 

しかし、ふとした拍子に、顔の痛みが彼女を襲います。

 

部屋に戻るとベッドに倒れるようにして横になり、

次に目を覚ますと顔の痛みは消え、

昔のような綺麗な顔が鏡に映るのでした。

 

久しぶりに英馬さんの彼らしい姿に、

気持ちが高揚したのか、

オーナー夫婦手作りのドレスに身を包み、

ディナーをレストランで楽しむことにしたあよさん。

 

 

彼女が、マスクを取った姿を初めて見た、

オーナー夫婦は、その美しさに驚き、目が離せない様子です。

 

食事を終え、また顔の不調を感じた彼女は、

マスクをし、部屋に戻るのでした。

 

そして、夜半過ぎ、

外からは女性のあえぐような声が聞こえてきます。

 

気になったあよさんは、

その声をたどってホテル外の小屋へ足を運び、

窓の隙間からのぞいてみると

そこにはオーナー夫妻の姿がありました。

 

 

しかも、奥さんはディナーの時に自分が着ていた服を着て、

旦那さんに抱かれていたのです。

 

誰からも「いい夫婦」として認められいることで、

心に溜まっていく何か、それを解消するために、

危険であっても二人にとってその行為は必要なこと。

 

 

そう思ったあよさんは、

何も言わずにその場を後にするのでした。

 

 

あよさんが、ホテルを出て駅で電車を待っていると、

そこには何故か仕事を辞めた英馬さんの姿が。

 

勘のいい彼だから、

 

「想像の中だけでも、

自分が辱められていることに腹を立てて、

仕事を辞めたのだとしたらいいな」

 

と考えると、

あよさんはなんだかうれしくなり涙が出てきました。

 

顔の痛みに、つい声を出すと、

英馬さんから「大丈夫か」の言葉がかけられます。

 

彼との会話をどこか愛しく感じられるようになった、あよさん。

 

 

二人の関係も少しずつ変わっているように感じられるラストでした。

 

⇒まんが王国


⇒愚者の皮:第9回・あよの誇り

⇒愚者の皮:第7回・変貌


 

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