愚者の皮:第6回 心の毒

 

《 体の毒と心の毒6回 》

 

その後も、英馬さんの情報を集め、後を追うあよさん。

情報を受け取りにいく途中、

山中で車酔いしてしまったあよさんは、

一度バスを降りることにしました。

 

次のバスを確認しようとすると、

なんと自分が乗っていたのが、

今日最後のバスだったのです。

 

 

困っていると帽子をかぶった尼のウメさんが、

お寺に泊めてくれるとのこと。

 

お寺に着き、残月さまや他の尼さんにも挨拶をすると

温かく受け入れてくれ、食事を一緒に取ることになりました。

 

顔を隠す帽子やマフラーを恐る恐る取り、

食事をしますが、誰も顔について悲鳴を上げたり、

理由を聞いてくる人はいません。

 

「自分の顔を見てなぜ平気なのか」と思っていると、

 

おもむろに帽子をとるウメさん。

 

帽子の下からは、火傷が治った後も、ただれが残った頭が。

 

驚きを隠せないでいるあよさんに、

ウメさんは、付き合っていた彼氏に暴力を振られて

熱湯をかけられたといいます。

 

過去を受け入れている、

明るいウメさんの表情に、

惹かれてしまいますね。

 

翌朝、まだ体の不調が抜けないあよさんは、

残月さまに体調のことを相談すると、

しばらく寺で静養することを進められるのでした。

 

 

お寺にいる尼さんは、

みんな顔や頭、体に傷を持っており、

昨晩のウメさんの話を聞いて、

つらい過去を背負って、今ここにいることに気付き、

 

「あよさんの話も聞かせて」

 

と言われると、あよさんは表情を変えずに、

自分の身に起こったことを話し始めます。

 

聞いてくれた尼さんは、みんな泣きながら、

「あよさんが、かわいそうだ」と言ってくれましたが、

その涙には、自分より不幸な人がいたことへの安堵も

含まれているのではなかと考えるあよさん。

 

そんなことを考えていると、次第に胸が苦しくなり、

布団に横になることに。

 

 

残月さまは、心の解毒が必要だといい、

それだけひどい仕打ちを夫から受けても、

なお彼を追い続けるのは、

 

「復讐という名の執着ではないか」と、

 

あよさんに問いかけます。

 

その日の夜、あよさんは、

ウメさんからも言葉をもらいます。

 

「彼はいつも暴力をふるうわけじゃなかった、

優しい言葉をかけてくれることもあった。

自分の愛で、いつか彼の暴力も直せるって思っていたが、

そんな愛は本当の愛なんかじゃなかった」と。

 

そして、自分が接する相手に対して、

優越感を持っていたこと、

醜いのは自分の心だったことに気付いたのです。

 

あよさんは、残月さまに

心と体の解毒を頼むことにしました。

 

苦しさに耐え、解毒の効果は、

確実にでてきていたのですが、

あよさんは気づいてしまったのです。

 

「英馬さんが、思いやりに目覚め、

美しいから愛するのではなく、

醜くても愛してくれる」ことが、

自分の本当の望みであることに。

 

そして、その可能性があるうちは、

自分は今のままでいいと心を決め、

寺を後にするのでした。

 

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⇒愚者の皮:第7回・変貌

⇒愚者の皮:第5回・顔という臓器


 

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